院長のブログ

2013年7月28日 日曜日

痔瘻の手術

肛門科日帰り手術の中で一番多いのが、内痔核、いわゆる"いぼ痔"の手術です。
2番目に多いのが、今回、取り上げる痔瘻の手術です。


痔瘻の手術と内痔核の手術で決定的に違う事。
それは、肛門括約筋(以下、括約筋)へのダメージが有るか無いか、です。


内痔核の手術は、括約筋には一切関係ないので、術後にお尻が緩むことはありません。
しかし、痔瘻は括約筋の中を通っている病気なので、括約筋に触れずに治療をすることが出来ません。


痔瘻の手術法は、大きく分けて
①    括約筋を切開して痔瘻を治す"切開開放術式"
②    痔瘻だけをくり抜く"くり抜き法"
に分かれます。


まず、切開開放術式ですが、この術式が許される根拠として、痔瘻の部位によっては
括約筋を切開しても肛門は緩まない・・と認められているからです。
現実は、緩む方は緩みます。頻度は多くなくても、個々の患者さんにととっては、緩むか?緩まないか?の2者択一と言って良いでしょう。

一方、"くり抜き法"ですが、くり抜き、と言っても部分的には括約筋を切開することが多いです。

私は、括約筋を切らないということに固執します。

私自身、痔瘻の手術を受けていますが、術後、変化を自覚しているからです。

お酒が大好きだった私ですが、お酒を飲んだ後、便が緩くなる傾向があり、術後はめっきり飲酒量が減りました(でも日々勉強する時間が増えました)。

私は、痔瘻であれ、内痔核であれ、良性疾患なのだから、機能温存を重視してきました。

根治性も損なわないように・・・

痔瘻の場合は、術後、便が漏れやすくなる可能性があり、特に括約筋へのダメージには気を使います。
当院では、原則、括約筋には一切、ダメージを与えず、完全にくり抜く手術を心がけます。
"完全くり抜き法"と言っても良いでしょう。
手術は当然遣りにくくなります。術後の傷が治る期間も、多少長くなります。

でも一度緩んだ括約筋はもとには戻りません。
加えて、我々は年を重ねるに従い、嫌が応でも括約筋が緩むという宿命と向き合うことになります。

術後の管理に多少時間がかかっても、括約筋にダメージは与えない方が良いと考えています。

反省

忙しさにかまけて、ブログ更新が遠のいてしまった。

嫌々、この業界では、私の忙しさは普通だ。

精神が弛んだのか・・

53歳、もうおじさんですが、心持をあらたにして・・・

投稿者 鶴町クリニック | 記事URL

2013年5月25日 土曜日

なるべく切らない手術

当院では、
肛門疾患の日帰り手術を行うにあたり
なるべく切らない手術を心がけてる。

メスを加えてマイナスの面がまったく無いということはない。

手術後の肛門機能を測定して、手術による悪影響は殆ど無い、と言う
報告は多い。
切る手術の妥当性を支持する立場だ。

ただ、問題が出てくるのは、術後10年、20年と経って
自分が年をとった時だと思う。
このように術後の患者さんを、超長期にわたって観察した研究は
無いと思う。

ご高齢の患者さんで
便意が解らなかったり、便が自然に漏れてしまうことに
悩んでいる人が非常に多い。

手術を経験しなくても、我々は年とともに、このように
不愉快な症状を受け入れなくてはいけない。
増してや、大きくメスが入った場合を考えると・・
実際にこのような症状の患者さんの中で、過去に肛門科の
切る手術を受け、それに悩んでいる方は少なくない。

当院では、なるべく切らない手術を心がけている。
それを可能にしたのが、ジオン注射だ。

当院におけるジオン注射を行う割合は年々増えている。

大事な事なので、何回かに分けて、ブログに書いていきたい。

実は、私も痔の手術の経験者。
身を以て実感している。



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2013年4月 3日 水曜日

新しい年度が始まる

もう4月だ。

新しい年度の始まりです。
暦を1枚めくるだけだが、1つの”区切り”を感じる。
特に、今年は。

私の仕事は会社ではないので
「決算で忙しい」と言ったことはありません。
ただ、世田谷区で行っている健康診査が年度で切り変わる関係で
駆け込みでこの健康診査を受けられる方が多数おられ
慌ただしい時期ではあります。

しかし、いつにも増して”1つの区切り”を感じています。

朝の連続テレビ、”純と愛”が終わった性でしょうか?
生まれて初めて、第1話から最終回まで見ました。
1週間分録画し、土曜日の晩に見る、といった感じです。
実にすばらしい、wanderfull exellent!!

脚本と役者さんの演技、すなわちキャスティングがマッチすると
素晴らしい作品になるんだと実感しました。

特に後半は、脚本家のメッセージが
随所に出ていたと思います。

理不尽なこと、「何故、自分が?」、もう、これで自分は終わりになるのでは?
辛いこと、耐え難いことは
情け容赦なく
雨あられのように、自身に降ってきます。
何かをしようとする度に。

でも、悩んだあとは、前へ進むしかありません。
後ろを振り返らず、自身の力で・・・

そんなメッセージを感じられたのも
新年度を強く、意識した大きな理由です。

さあー、頑張るぞ。

そうだ。ブログも、もっと頻繁に更新しないと・・・

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2013年3月 3日 日曜日

日帰り手術で重要なこと

日帰り手術で重要なこと。

術前の体調管理、手術の手技など数え上げたらいくつになるやら・・・

今回は”術後の傷の管理”という観点で、日帰り手術を首尾よく成功に導く
術を検討したい。

一般的に傷を早く治すのに重要なのは、清潔に保つこと、安静を保つことだ。
翻って、肛門疾患の手術の傷の場合、
便の細菌がついてしまう、傷が治ろうとしても、翌日の排便でまた傷が開いてしまう。
清潔も安静も保ちづらい。傷が治りにくい状況がそろっている。

私は、この傷が治りにくい状況を打開するには
術後の傷の洗浄が重要と考えている。
具体的には弱めの水流でウォシュレットすることだ。

排便後、会社に着いたとき、昼ごはんの頃、帰宅前、帰宅して入浴後
最低でもこのくらいは洗ってほしい。

当てる時間は短時間。最近、長時間、ウォシュレットを当てすぎることが原因の
皮膚障害も報告されている。

床ずれという、治りにくい傷がある。
いろいろな軟膏が開発されているが、万能のものはない。
この床ずれを定期的に、生理食塩水などで洗浄すると
驚くほど改善することが知られている。

この原理を肛門疾患の術後の傷にも当てはめた、と言うわけだ。

これだけでは無い。

まだまだ色々あると思う。系統的にブログで紹介したい。

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2013年2月24日 日曜日

術後の痛み

肛門科の日帰り手術を受ける患者さんが、共通して心配することは
術後の痛みへの不安である。

痛みが全く無い、と言うことはない。

ただ、日常生活に支障がでない範囲内の痛みなので心配ない。

完全無痛にする手段はある。

塩酸キニーネと言う薬剤を、術後の傷の周囲に注射するのだ。

なぜ無痛になるのか?確たる作用機序は分かっていない。

ただ、術後の痛みに限らず、原因がわからない肛門周囲の激しい痒みや違和感に塩酸キニーネ注射の効果があったとの、報告は散見される。

日帰り手術を始めた当初、使用したことがある。

確かに鎮痛効果は抜群だ。
ただ問題なのは、痛みがなくなると、術後と言うことを忘れ、行動範囲が大きくなってしまう。少しくらいなら、と飲酒をしてしまう患者さんも出てくる。
加えて塩酸キニーネは出血しやすくなる性質を持つ。

以上から、我々がもっとも恐れる、術後出血の可能性が高くなる。

塩酸キニーネは最初の数例使用しただけで、まったく使っていない。

当院の原則は、手術した当日と翌日は自宅で安静にしてもらう。3日目からは仕事に出勤してかまわない。

すなわちこの程度の痛みと言うこともできる。

そんなに心配しなくて良いと思う。



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